雑記

由なし事を書き綴るだけ

居場所のない子の居場所をどうやって作るか。

かつて私の教え子に援助交際をしている子がいました。

塾で講師をやっていた時に、看護学校への入学を希望して入塾して来た子でした。

 

 

16歳だった―私の援助交際記 (幻冬舎文庫)

16歳だった―私の援助交際記 (幻冬舎文庫)

 

 

援助交際をしている子は、そのイメージから偏見にさらされてしまいます。

汚い、お金欲しさに自分を売った、頭がおかしい、などなど・・・。

援助交際を批判する側は無責任な批判をしてしまいがちです。

実際に、筆者も援助交際が親に知られてしまった際には売女となじられたそうです。

 

援助交際を肯定する訳ではありませんが、援助交際を本気で無くそうと思うのなら、

援助交際をしている子の立場を分析する必要があると思います。

 

私は援助交際をしていた子に対しても否定的な態度を取ることをせず、

肯定的な態度で接していました。

そのため次第に打ち解けて、援助交際をしている事と、なぜ援助交際をしているか

理由を聞くことができました。

 

「16歳だった」の筆者にしても、私の教え子にしても、共通していたのは

居場所がないということでした。

学校に馴染めず、勉強や部活に打ち込む訳でもない。

そうなると家にも学校にも居場所がなくなってしまいます。

最初はカラオケなど遊ぶ場所を居場所とします。

 

しかしながら高校生のお小遣いではだんだんとお金がなくなって来ます。

お金がないと遊ぶことも買い物することもできません。

親からお金をもらい続けることも難しくなって来ます。

またこの頃には学校の成績も下がるため自己否定感が強くなってきます。

 

このタイミングで女の子は自分の体を売ることを決断するようになります。

援助交際をすることで、居場所とお金と自己肯定感を手に入れることができるのです。

  

私の住む長野県では、ついに青少年保護条例が作られました。

かつては自由恋愛を謳っていたのですが、援助交際等を防ぐ意味合いでも

作られた条例と推察しています。

 

しかしこの条例で援助交際は防げるのでしょうか。

私は条例よりも学校に居場所のない子供たちに居場所を作ってあげる方がよっぽど必要だと思います。

彼女たちは「自分を大切にしなさい」と言われ、

自分を大切にした結果として援助交際をしているのです。

 

援助交際を防ぐために社会に求められているのは「清く正しく生きなさい」と示す条例ではなく、彼女たちを必要としてくれる居場所なのです。